2021年11月15
琉球國中山王臣尚貞、誠に惶れ恐み、稽首頓首して
言を上る
伏して以みるに
一統の規模を大にし誕に
敷き、萬年の暦藪を綿ね
丕ひに光華を著あらわし、海を 航り山を梯 り 来享来王の盛なるを極め、
天を聞き、同文同軌の休
を昭にしたれば、朝野心を傾け臣民徳を頌ふなり。
欽しみ惟ふに
皇帝陛下は、惟れ精、惟これ一、乃ち神にして社稷を無彊
に定め奠め、年を卜世を卜
め謨烈を有永に光かし、丕に顕
らわし丕承くるなり
臣貞、蚊島の外藩、蟻封の荒服は不毛の地と雖
へども、徒芹私もて、而して君の誠を
愛し、敢へて葵向を忘れんや。
敬しんで、陪臣向英・毛文哲等を遣わし、遠かに波濤の険を渉
るに、車は指南を用ひ、虔んで筐微を齎すに斗は極北を瞻て、少しく嵩呼の悃を伸て、聊か、日照の光を依むなり。
伏して願わくは
江漢は朝崇し星辰は拱極すれば、
(天子) 虞廷の雅楽を奏して、羣が鳳儀獣舞の祥を瞻て
(天子) 宗室の賢才を毓くみて豹変鷹揚の績を著さんことを
将に王風十雨して、長く玉燭を存し、以て常に四?
九州を調へ、大いに金甌を
孔固鞏なりしを見るべし。
臣貞、天を瞻て聖を仰ぎて、激切屏の至りに任営の至りに任ふる無く、
謹みて表を奉まつりて、恭しく進めて以て聞る。
康煕肆拾七年十月 日 琉球國中山王臣尚貞謹いみて表を上る。
註1-誕 おほきい おほいに 帝乃誕敷文徳『大漢和辞典』 註2-梯 (はしごをつたうようにして高いところへ)のぼる。 註3-荒服 古、王服の一つ。舜の時、王畿を去る二千里から二千五百里に至る間をいう。 五服 古代王畿の外国の五つの地域。甸服 、侯服、綏服、要服、荒服。 註4-芹私 野の芹にこめたささやかな誠意。「芹」には粗末な献上品をさし「私はそれに備えたささやかな真心。又自己の贈り物の謙稱すろ語。寸法。 註5-葵向 ひまわりの花が日光の方に傾き向う。葵傾。 葵傾 ひまわりが日光に向ひ傾く。下民が人君の徳を仰ぎ慕うこと。 註6-江漢朝崇于海 江水漢水が合流して共に海に赴くこと。諸侯が皆天子を尊で之と朝すると同じであるという。 『書 禹貢』 江漢朝崇于海 〔傳〕二水経此州、而入海、有似於朝、百川以海為宗、宗尊也 註7-朝宗 ①諸侯が天子に謁見する義。春見るを朝、夏見るを宗といふ。又 帰服すること。 註8-星辰 ほしをいう。又そのやどり。辰宿。 註9-拱極 北極星と同じ。 註10 -獣舞 〔徐陵文}獣舞豫禽歌頌平 〔張正侍宴詩〕獣舞依鐘石鸞歌應管弦 註11-豹変 ①君子の善に遷って旧悪を改め去るのが顕著で、豹斑采の煥蔚が如きことから善に遷る喩。貧賤から顕達する例『大漢和』 註12-鷹揚 ①たかが空に飛揚するようにゆったりして武勇を奮うこと。勇威を示すさま。『大漢和』 註13-王風十雨 気候の順調なること。五日に一たび風吹き、十日い一たび雨ふること。『大漢和』 註14-玉燭 四時の気候が調和すれば萬物光輝くこと。玉の燭に似ているからいう。『大漢和』 註15-四?(とく) ①四つの大河。長江、黄河、淮水、済水。『大漢和』 ②星の名。江、河、淮、済之精。『大漢和』 註16-金甌 ①金で作った甌。 ②領土国体の完全堅固#000000な例。
皇帝、琉球國中山王尚貞に勅諭す。
朕惟ふに、
徳を昭にして,遠くを懐け、世の良規を盛にし、
職を修へ、?を献り、藩臣の太節輸して、懈たるに匪ざれば、寵・賚をば宜しく頒
ふべし。爾琉球國中山王尚貞、遐方に在るに属し、克く丹悃抒べ、使いを遣はし表を齎らし貢を納め、
るの忠(草冠)+盡の忱、良しく嘉尚すべし。是を用って、勅を降し、奨諭、併、王に文綺等の物を賜ふ。
王其れ?しみて承きて益す忠貞に励み以て朕の眷に 副べし。欽よ哉。故に勅す。
計開す
蠎緞 四疋 青藍綵緞 六疋
藍素緞 六疋 衣素 六疋
閃緞 六疋 錦 四疋
紬 六疋 羅 四疋
紗 六疋
康熙肆十年十一月十五日 『歴代宝案』1645
註1 王+?読み ちん 註2 太節 人の守る重大なみさお。君臣の義。 註3 忠 臣が君に対してふたごころのないこと。 ? (草冠)+盡 すすみつとめる。忠愛の心が厚く進み努めること。