『書簡和觧677-683』

琉球國中山王臣尚貞、誠におそれつつしみ、稽首首けいしゅとんしゅして言をたてまつ伏しておもんみるに、一統の規模をおほいにしおお(註1)き、萬年の暦藪を綿つらおほひに光華をあらわし、海を わたり山をのぼ(註2)来享遠方諸侯が前来して貢物を進献すること。(註2)来王古代諸侯が定期に天子に拝謁すること。註2)⓶のさかんなるをきわめめ、天を聞き、同文同軌天下を統一すること(註2)さいわいあきらかにしたれば、朝野朝廷と民間(註2)⓸心をかたむ臣民臣下と百姓(註2)徳をたたふなり。
つつしみおもふに、皇帝陛下は、優れた物(註2)
⓺にして、これ:最上のもの;天下一(註2)にして、年をえらびさだめ世をさだ謨烈謀略と功業有永とこしえ(註2)⓼にかがかし、おほいあららわし丕におほいくるなり。
臣貞、蚊島小さい外藩諸侯の封ぜられた國:琉球(註2)たる蟻封の荒服小さい蟻塚のに封じられた琉球は五服に属するの荒服であるーこうふく(註3)は不毛の地とへども、ただ芹私寸志(註4)もて、而して君の誠を愛し、敢へて葵向きこう:下民が人君の徳を仰ぎ慕うこと(註5)を忘れんや。つつしんで、陪臣向英・毛文哲等を遣はし、はるかに波濤の険をわたるに、車は指南(註5)正しい方向に導くので用ひ、つつしんでかご微意もたらすに斗は極北北京城(註5)て、少しく嵩呼すうこ:萬歳萬歳萬萬歳(註5)➂してまごころのべて、いささか、日照天子様の放つ(註5)かがやきたのむなり。
伏してねがわくは江漢諸侯が皆天子を尊で之と朝すると同じであるという(註6)朝崇帰服すること(註7)星辰ほし(註8)北極星(註8
➀)に両手を胸元で組み合わせる。こまぬく「拱手・垂拱」(註8_⓶)すれば、
(天子) 虞廷指虞舜的朝廷、相傳虞舜爲古代的聖明之主、故示虞廷爲聖朝的代稱(註9)の雅楽を奏して群臣鳳儀太平の印獣舞(註10)サチ(註10)て、
(天子) 宗室広義的な皇族にたいする呼称である。(註10)
⓶の賢才をはぐくみて豹変賤から顕達する(註11)鷹揚勇威を示すさま(註12)功績を著さんことを
将に王風十雨気候の順調なること(註13)して、長く玉燭四時の気候が調和すれば萬物光輝くこと(註14)を存し、以て常に四瀆四つの大河。長江、黄河、淮水、済水。(註15)九州を調へ、大いに金甌領土国体の完全堅固:きんおう(註16)
孔固はなはだ かたき,かたく,なりしを見るべし。
臣貞、天をて聖を仰ぎて、激切屏の至りに任営の至りにふる無く、謹みて表をたてまつりて、うやうやしく進めて以て申し上げる。
康煕肆拾七年十月  日 琉球國中山王臣尚貞謹しみて表をたてまつる。


『書簡和觧677』

『歴代宝案-1634』


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註1-誕  おほきい おほいに
帝乃誕敷文徳『大漢和辞典』
註2-梯 (はしごをつたうようにして高いところへ)のぼる。
(註2)➀ 来享 谓远方诸侯前来进献贡物。『漢典』:遠方諸侯が前来して貢物を進献することを謂う。
(註2)
⓶ 来王 指古代諸侯定期朝覲天子『漢典』:古代諸侯が定期に天子に朝覲(侯または属国の王
などが、参内して君主に拝謁すること)する。:⇒古代諸侯が定期に天子に拝謁すること
(註2)➂ 同文同軌 天下を統一すること
(註2)
⓸ 朝野 朝廷と民間
(註2)⓹ 臣民 臣下と百姓
(註2)
⓺精 優れた物(weblio)
(註2)⓻一 最上のもの;天下一(weblio)
(註2)
⓼ 有永 とこしえ
有 ①ある。存在する。「有益」「有事」対無
②もつ。持っている。備えている。「国 有」「所有」 ③また。さらに。「十有余年」
永とこしえ
有永=とこしえに有るもしくは「有余」は余りがあるという意味(web検索より)の造語方法から考えて
とこしえとした。(agijimaの考察)
(註2)⓽ 外藩 諸侯の封ぜられた國:琉球
註3-荒服  古、王服の一つ。舜の時、王畿を去る二千里から二千五百里に至る間をいう。
五服  古代王畿の外国の五つの地域。甸服 侯服、綏服、要服、荒服。
蟻封の荒服ー註3 小さい蟻塚のに封じられた琉球は五服に属するの荒服であるーこうふく(註3)
荒服は王服の一つ即ち 甸服 侯服、綏服、要服、荒服の中の一つの荒服である。
蟻封 とは蟻塚のことである。
このことから小さい蟻塚のに封じられた琉球は五服に属するの荒服である。と考える
註4-芹私  野のせりにこめたささやかな誠意。
「芹」には粗末な献上品をさし、私はそれに備えたささやかな真心。又自己の贈り物の謙稱する語。     https://kotobank.jp/word/%E8%8A%B9%E7%A7%812808135#E6.99.AE.E5.8F.8A.E7.89.88.20.E5.AD.97.E9.80.9A:寸志。
自己の贈り物を謙稱する語。寸志(『大漢和』)
註5-葵向  ひまわりの花が日光の方に傾き向う。葵傾。
葵傾  ひまわりが日光に向ひ傾く。下民が人君の徳を仰ぎ慕うこと。
(註5)
➀ 指南 正しい方向に導くので
指南 指南は「教え導くこと
指南車とは、人が引く二輪の車で、車上に人形を備えつけたもの。
車をどの方向に動かしても、人形の手が常に一定の方角を指すよう歯車の仕掛けが施されていました。
いわば当時の方位磁針。 道に迷わないよう方向を示すことから、指南は「教え導くこと」
を意味するようになりました。(web検索)
(註5)⓶ 極北 北京城
デジタル大辞泉「極北」の解説
きょく‐ほく【極北】
1 北の果て。北極に近い所。
2 物事が極限にまで達したところ。「純文学の極北を目指す試み」
[類語]極地・極点・南極・南極圏・北極・北極圏
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例(web検索)
agijimaの考察 北京城
(註5)
➂  すうこ:萬歳萬歳萬萬歳
嵩呼 指臣下祝颂帝王,高呼万岁(DuckduckGo検索)
臣下が帝王を祝颂するに、万歳と高く叫ぶを指す。
agijimaの考察⇒萬歳萬歳萬萬歳
(註5)⓸ 日照 天子様の放つ
中国では天子が冬至の日に天を祭るのを郊天の儀といい重要な儀式である
註6-江漢朝崇于海  江水漢水が合流して共に海に赴くこと。諸侯が皆天子を尊で之と朝(参朝_AGIJIMA付加)すると同じであるという。(朝=宮中に参内して天子や身分の」高い人にお目にかかる。天子が政治を行うこと。agijimaの付加)
書 禹貢』 江漢朝崇于海 〔傳〕二水経此州、而入海、有似於朝、百川以海為宗、宗尊也
註7-朝宗       ①諸侯が天子に謁見する義。春見るを朝、夏見るを宗といふ。又 帰服すること。
註8-星辰       ほしをいう。又そのやどり。辰宿。
註8
➀ 極 北極星(web検索)
註8_➀ 拱 両手を胸元で組み合わせる。こまぬく「拱手・垂拱」(web検索)
註9-拱極     極に拱す(agijimaの考察

拱 両手を胸元で組み合わせる。こまぬく。「拱手/垂拱」
拱手 中国の敬礼で、両手の指を胸の前で組み合わせておじぎをすること。
註9 虞廷 指虞舜的朝廷、相傳虞舜爲古代的聖明之主、故示虞廷爲聖朝的代稱(web検索)
註10 -獣舞      〔徐陵文}獣舞豫禽歌頌平
〔張正侍宴詩〕獣舞依鐘石鸞歌應管弦
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註10
鳳儀獸舞
表示圣贤教化的功效极大,能使神异的鸟兽奋然起舞(WEB検索 首页 > 成语词典 > 正文)
それは、賢人と賢人が教化の大きな効果を持ち、魔法の鳥や獣を踊らせることができることを意味します。(GOOGLE譒訳)
ーーー
(註10)➀ 祥 サチ ①さいわい。さち。めでたいこと。「嘉祥(カショウ)」「吉祥」
②きざし。前ぶれ。「祥雲」 ③喪明けの祭り。「祥月」
(註10)
⓶ 宗室 広義的な皇族にたいする呼称である。
註11-豹変 ①君子の善に遷って旧悪を改め去るのが顕著で、豹斑采の煥蔚が如きことから善に遷る喩。貧
賤から顕達する例『大漢和』
註12-鷹揚       ①たかが空に飛揚するようにゆったりして武勇を奮うこと。勇威を示すさま。『大漢和』
註13-王風十雨   気候の順調なること。五日に一たび風吹き、十日い一たび雨ふること。『大漢和』
註14-玉燭      四時の気候が調和すれば萬物光輝くこと。玉の燭に似ているからいう。『大漢和』
註15-四瀆(とく)  ①四つの大河。長江、黄河、淮水、済水。『大漢和』
②星の名。江、河、淮、済之精。『大漢和』
〇四瀆は古くから神としてまつられてきた。(web検索結果)
註16-金甌      ①金で作った甌。
②領土国体の完全堅固#000000な例。

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康煕肆拾七年十月 歴代宝案-1634
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皇帝、琉球國中山王尚貞に勅諭す。
おもふふに、徳をおもふにして,遠くをなつけ、世の良規を盛にし、職をととのへ、たから</rtたてまつり、藩臣の太節君臣の義(註2)をばつくして、おこたたるにあらざれば、寵・賚いつくしみのたまわりものをば宜しくたまふべし。なんじ琉球國中山王尚貞、遐方遠方に在るに属し、丹悃まごころべ、使いを遣はし表をもたらしみつぎものおさめ、忠藎忠誠(註3)まことよろしく嘉尚嘉尚すべし。ここって、勅をくだし、奨諭さとるをすすめはげましてあわせて、王に文綺等の物を賜ふ。
つつしみてうけいただきてますます忠貞にはげみ以て朕のいつくしみに かなふべし。つつめ。故に勅す。

計開かぞえてしるす
蠎緞 四疋           青藍綵緞 六疋
藍素緞 六疋          衣素 六疋
閃緞  六疋          錦  四疋
紬   六疋          羅 四疋
紗   六疋
康熙肆十八年十一月十五日

 


註1  たから 読み ちん
註2  太節 人の守る重大なみさお。君臣の義。
註3  忠 臣が君に対してふたごころのないこと。
藎 すすみつとめる。忠愛の心が厚く進み努めること。
忠藎的意思 「百科解釋:忠藎是一個漢詞語、猶忠誠、<三国志 蜀志董和傳 >有記載(WEB検索)


『歴代宝案』1645

『書簡和觧683』

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