[本文0687]【久高島は、俗、豚を養はず。】仁政を覃敷し、人民に蒞治して、各郡邑をして𨿸豚を飼養せしむ。惟、久高島は、俗、豚を養はず。是れに由りて、扱理役を招来して、豚を養はざるの故を問ふ。島民奉答するに、往古の世、神の出現する有り。一日、豚、外に出でて、糞を以て其の衣を汚す。神、大いに之れを怒る。茲よりの後、皆、其の威を畏れて、敢へて之れを養はず。十年以前、島民復養ふ。嗣後、居民貧窘にして、漸々衰微す。首里大阿母志良礼、以て神の崇と為す。今世に至り、敢へて養はずと云ふ。朝議、之れに依りて、民をして豚を養はしめず。਀