[本文1327]【十一月二十三日、前任久米在番向天祥、百姓を教訓するの功を褒奨す。】久米島具志川県の民、頃年に至り、農業に怠慢し、且凶歳の患に遭ふ。況んや運税船隻亦風浪の難に遇ひ、装貨尽く丟吊を致すをや。彌々窘迫に至り、日食続ぎ難し。時に在番向天祥松田親雲上朝顕、其の情状を察し、御検使、定むる所の条款に体照し、農事を勧励す。百姓従ひて其の教を承け、荒るる所の田圃、力を振ひて耕耨す。且改めて浮溝を掘るに因り、故に天水田も亦其の水を引きて耕種するを得たり。諸般の事務に至りても亦心力を尽くして百姓に教示す。是を以て、漸く財産を興し、原来欠く所の貢米及び貯米・借米・村用の米共計一百六十石余・傭銭三万二千貫文余、皆田圃獲る所并びに紬綿の価を以て、尽くս鉮먰奰Ȱ젰ⱓ౧罷颉冒湧✰鵙ﭮ㼰澖鶂䥮湻潑İ細ⱶ齝術訰㐰卬銐頰譣垕昰乬攰詧İర⵷뉎わ湵⠰㑵桬먰奰Ȱ䘰塏镘鉎餰硐嘰謰欰詖İ䔰步ର殖∰疐츰歫İᨰ余搰敗を致し、毎年修葺の時、費すに四百余の民夫を用ひ、甚だ農事を妨ぐ。是を以て大溝の井口に堤坊を築起すること長さ十歩・横五歩・高さ六尺なり。又、阿良溝井口に、堤坊を築起すること長さ六歩・横二歩・高さ五尺にして、各々塘井を備ふ。又上江洲村富祖古の溝は、十七个所の田地用水に係ると雖も、但源頭窄小にして、旱魃の時に当り、各田耕種するを得ず。故に亦塘井を設備して、以て蓄水の処と為す。又仲地・山里・具志川・仲村渠四村の田地用水は、山垣原塘井より流来する有り。然れども其の水浅く、以て通達し難し。亦修理を加へ、高く堤坊を築く。故に流通するを得たり。特に田に注ぐのみならず、各村に至りても亦用水を得たり。是れ皆向天祥の教示に頼りて、永く保全することを得て、本県の便と為る。是に于て、後任在番曁び保長等、細に査看を加へ、由を備へて詳報す。随ひて向天祥に、画軸一幅・上布二疋を賞し、併びに、各其の事に従ふ者を褒す。਀