[本文1846]【本年、太平山島、神宮・霊嶽・寺院に於て、上は国家の為に、下は全島の為に、其の安寧を禱る。】此の年、阿蘭陀船到来して国家を騒擾するの意有るに因り、朝廷、経に神宮・霊嶽・寺院等の処に於て、諸神諸仏に禱告して其の保佑を求めしむ。太平山島も亦其の事を伝へ聞き、前三日より既に屠宰漁猟を禁じ、又斎戒沐浴を為して、上は員役より下は百姓に至るまで、皆神宮・霊嶽・寺院等の処に於て、香を焚きて禱告す。其の祝に曰く、偶々異国人の到来する有りて憂慮に勝へず。伏して乞ふ、神仏、威霊を宣顕して護国庇島し、永く昇平を享けしめよと爾云ふ。又離村・離島の、有る所の霊嶽に於ても、其の首里大屋子・与人・目差等をして禱告せしむ。又祥雲寺に於ても、其の住持をして経を念じて禱告せしむ等の由、該島在番朝廷に禀明す。਀